女優の沢尻エリカさんが令和元年12月6日に、MDMA(メチレンジオキシメタンフェタミン)の所持で麻薬及び向精神薬取締法(以下「麻薬取締法」といいます。)違反の罪で起訴され、同日、保釈金500万円で、保釈されました。

保釈について教えてと言う質問も時々ありますので、この記事では、保釈について説明いたします。

保釈とは、保証金等を納付させて、出頭しない場合に、これを没収するという条件で、被告人を勾留から釈放する裁判等のことです。
日本の場合、起訴前の被疑者の段階では、保釈制度がないため、保釈の申立ては、起訴後に行わなくてはなりません。

沢尻さんの本件も、起訴後すぐに申立てが行われたものです。

また被告人は無罪と推定されるため、保釈の請求がされた場合は、原則としては、これを許さなければならないとされています(刑訴法89条)。

しかし例外も多く、以下の場合は保釈は認められません。

①被告人が死刑、無期又は短期1年以上の懲役・禁固にあたる罪を犯したものであるとき(同条1号)
②被告人が前に死刑、無期又は長期10年を超える懲役・禁固にあたる罪につき有罪の宣告を受けた者であるとき(同条2号)
③被告人が常習として長期3年以上の懲役・禁固にあたる罪を犯したものであるとき(同3号)
④被告人に罪証隠滅のおそれがあるとき(同4号)
⑤被告人が被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に外を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をするおそれがあるとき(同5号)
⑥被告人の氏名又は住居が分からないとき(同6号)

麻薬取締法第64条の2は、「ジアセチルモルヒネ等を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、交付し、又は所持した者は、10年以下の懲役に処する。」としていますので、沢尻さんの場合は、①の重罪の場合の例外にはあたりません。

また、沢尻さんの場合は、初犯のようですので、②、③にも該当せず、有名人で、氏名・住所も明らかでしょうから⑥も該当しません。

したがって、もっとも、問題となるのは、罪証隠滅のおそれがないことをどのように裁判官にわかってもらうかということです。

実務的にも、保釈を却下する理由として一番多いのが「罪証を隠滅すると疑うに相当な理由が」あるとするものです。

ただし、今回の公訴事実は、自室にMDMAを所持していたということで、捜査機関が客観的な証拠も既に取得しているようですので、比較的わかってもらいやすいでしょう。

とはいえ、弁護人が保釈請求書を提出すると裁判官は検察官に対し保釈に対する意見を聞きますが(刑訴法92条1項)、東京地裁の場合これだけでも2~3日かかります。

即日に保釈してもらうためには、検察官の意見も早くだしてもらうよう事前に働きかけておく必要があります(本件の場合は、罪を認めている事案ですので、これも可能です)。

また、身許引受人、保証金も準備する必要があります。

保釈保証金は、東京地裁の場合、最低で150万円と言われており、さらに、具体的金額は、被告人の資力によって異なります(逃亡しない場合は返還されるお金なので、被告人からみて大きな金額でないと逃亡を抑える効果がないことになります)。

ですので、今回の500万円というのは、高いとはいえない金額です。

なお、保釈には、居住地域の制限、事件関係者に接触しないなどの条件がつくのが一般です