告訴とは

告訴とは、「犯罪の被害者その他法律に定められた告訴権を有する者が、捜査機関に対して、犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示」を言います。

被害届は、犯罪の被害を申告するものですが、犯人の処罰を求める意思表示を含まない点で、告訴と異なります。

また、告発は、被害者等の告訴権者以外の第三者が、捜査機関に対して、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示をいいます。第三者が行う点で、告訴権者が行う告訴とは異なります。

告訴の難しさ

告訴は、検察官又は司法警察員(巡査部長以上の階級の警察官)に対し、行うことになります(刑事訴訟法241条)。口頭でも可能とはされていますが、通常は、書面(告訴状等)で行います。この告訴状を、検察官又は司法警察員に受理してもらうことにより、告訴は成立します。

しかし、告訴を受理してもらうのは、やさしいことではありません。まず、私が行った告訴のなかから、受理してもらったものの内、3件を説明しますので、告訴の具体的イメージをつかんでいただければと思います。

告訴の具体例

背任の例

会社の社員(ある程度以上の地位にいる人)が取引先に対しリベートを要求し、それを自分の懐に入れていることがわかりました。その時は、この社員は退社していましたが、合計は、何千万円になっていました。こういう場合、横領として告訴するか、背任として告訴するかも一つのポイントになります。通常は、横領の方が警察にもわかりやすいため、横領として告訴するケースが多いと思いますが、この件は、その社員の会社内での地位との関係もあり背任で告訴しました。それを、裏付けるため、遠方の取引先も含め、複数の取引先に対し、こちらから出向き、説得し、話を聞き取り、陳述書を作成しました。

その上で、某警察署に告訴状を提出しました。

警察は、最初から、告訴状を受理することは、まずありません。むろん、それこそ、犯罪であることが明かな、重い怪我の傷害事件等であれば別でしょうが、通常そのような事件は、告訴がなくても警察は動いてくれます。告訴をしなければならないということは、警察が簡単には動いてくれない事件だからです。

警察は、告訴状を見て、追加の証拠等を求め、これを、私と被害者である会社が補充をして行く等の作業を半年間ほどして、ようやく受理してもらうことができました。その間、相当回数、警察署に行くことになりました。むろん、定期的にということではなく、補充をし、警察に連絡すると、また、補充等を指示されるというような流れでした。

受理後、1年間くらい、警察が捜査を行い、当該社員は逮捕されました。

詐欺の例(被害者が会社の場合)

ある会社が、約10億円の不動産を購入したところ、その売り主である権利者という人が実は、権利者でなかったという事件がありました。権利書及び運転免許書が全く偽造されたものだったという事案です。司法書士さんも騙され、登記申請の際、法務局が気づいたという事件です。不動産は購入できず、その会社には10億円の損害が生じました。 

加害者は権利者と名乗っていた人ですが、当然、名前も仮名で、どこの誰だかもわからない(運転免許書のコピーの写真だけでした)状態でした。

この場合の告訴の目的は、犯人を捕まえることではありませんでした。問題となったのは、税金で、金額が大きいため税務署に償却を認めてもらうためには、告訴を受理してもらわなければならないということだったため、是非とも警察に告訴を受理してもらわなくてはならなくなったのです。

この時も、何ヶ月もかかり、何度も警察に行き、何とか受理を認めてもらいました。

詐欺の例(被害者が個人の場合)

個人が被害者の案件で、詐欺で、何百万円も騙し取られた事案がありました。その加害者に対しては、他県でも、別の被害者により、告訴がされ受理されていました。そこで、まず、その受理をした他県の警察署に告訴状を郵送しましたが、これは、事実上拒否されました。

次に、被害者が居住していた地域を所轄する東京近県の警察署に行きましたが、これも駄目でした。そこで、東京の警察署ということになりましたが、所轄の警察署に行くと、管轄が違う等言われたらい回しになる可能性がある事件だったので、警視庁に告訴をしました。

これも、数ヶ月かかり、受理してもらうことができました。

告訴の受理が難しい理由

そもそも、犯罪であることが事実上も法律上も明らかで、重大な事件であれば、警察は捜査をします。そういう事件であれば、告訴でなくても、当方が被害者であれば被害届を、被害者以外であっても、告発をすれば、警察は捜査を開始します。

告訴をしなければならない事件というのは、もともと、立証面、法律面等さまざまな理由から、容易に警察が動かない事件であることが多いことも告訴の受理が難しい理由の一つです。

また、警察は告訴を受理すると「速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない」(刑事訴訟法242条)とされていることから、上記のような事件の告訴の受理は負担となることも、受理に消極的になる理由の 一つです。

では、告訴を受理してもらうためには、どのようにすればよいのでしょうか。むろん、事件は、1件ごとに違いますので、どの事件にも通じる万能のやり方はありません。しかし、以下においては、いくつかのポイントを記載します。

告訴を受理してもらうためには

(1) 告訴状の提出は、検察、警察どちらがよいか。

告訴状の提出先として、法律は、告訴は検察官又は司法警察員(巡査部長以上の階級の警察官)に対し行うこととしています(刑事訴訟法241条)。つまり、警察、検察のどちらにも提出することができます。

では、どちらに提出すればよいでしょうか。

警察と検察は、まず、その人員の規模が大きく異なります。2011年の時点でで、警察官は全国で約28万人、これに対し、検察官は、副検事を含めても3000人弱、検察事務官を会わせても、全国で、1万3千人弱です。

他方、副検事を除く検察官は、全員、司法試験に合格した法律のプロということが、警察と違います(むろん、当然、警察も職務に必要な法律については精通しています)。

このように、マンパワーの点で、警察の方が機動性・迅速性に富み、大量の処理能力を備えていることから、私は、原則として、告訴は、警察に提出します。

例外的に、大規模な捜査等は必要がなく、例えば帳簿等を分析することにより、犯罪を分析・構成していかなければならないようなより高度の法律判断・技術を要する事件、また、事件関係者の中に警察官が登場するような事件などは、検察に提出することになると思います。

(2) では、どこの警察に告訴を提出すべきでしょうか。

告訴をどこの検察官あるいは司法警察員にするかについては、原則として法律上の制約はありません。極端な話をすれば、東京の事件を、札幌の警察に告訴しても法律上は問題がない場合がほとんどです。しかし、警察員は、関係のある警察署に提出するようにと言って、事実上、受理しないでしょう。

通常、告訴を行うのは、
 ・犯罪が行われた土地
 ・犯人が現在現実にいる土地
 ・被害者が居住している土地
 ・証人が居住している土地
等を所轄する警察署のどこかになるかと思います。では、このうちのどの警察に告訴をするのがいいのでしょう。

これについても、いくつかのポイントがありますが、1つは、比較的忙しくない警察署の方がよいということです。警察は、どこも忙しく、特に告訴しようとする犯罪と同種の大きな事件がその警察署に継続している場合、担当の警察員は忙しく、その事件が決着するまで、なかなか、話を聞いてくれたり、検討してくれたりしてくれなくなってしまいます。また、選挙の後は、選挙違反の捜査のため、本来の担当以外の警察員も動員されることが多いため、できるなら、この時期は避けた方がよいです。

また、当該、警察署にとって、捜査がしやすいことも、ポイントです。証人、犯人が遠距離よりも、近い方が警察としても、動いてくれやすくなります(具体的な事案によりますが)。

前記の具体例3のように、東京で、警察署間で、たらい回しになりそうなときは、所轄の警察署ではなく警視庁に出すというようなことも考えられます。

できれば、最初に決めた警察署で、受理してもらうよう、粘るのが基本ですが、場合によっては(具体例3のように)、複数の警察署にあたることもあります。そこらへんは、事案により柔軟に対応しなければなりません。

(3) 警察に民事事件のために告訴をするとは思われないようにすること。

警察は、民事事件の解決のために、告訴をされることをいやがります。

例えば、脅迫罪で告訴を受理し、被疑者を任意の取調をしている最中に、被疑者が告訴を行った人(被害者)にお金を払って示談をしてしまうと、まさに、警察としては、梯子を外されたことになります。

ですので、私の場合は、民事の事件が絡む場合も、依頼者に対し、刑事の処分が決まるまでは、民事事件を進めないことをわかってもらい、その旨、警察に表明します。

(4) わかりやすく記載し、証拠を添付すること。

当然、告訴状の内容が重要です。

まず、犯罪成立の要件を満たした具体的事実(犯罪事実)を記載することにより、警察にどのような具体的犯罪について、告訴をしようとしていることを、わかってもらわなくてはなりません。

比較的わかりやすい窃盗(万引犯)について見てみると、法律は、刑法235条で、 「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」 と定められていますが、この条文を記載しただけでは、警察は何が何だかわかりません。

そこで、告訴事実として、例えば、
「被告訴人は、平成2●年●●月●●日午後8時17分頃東京都渋谷区道玄坂●丁目●番●号所在の株式会社●●●●渋谷店において、同店店長●●●●管理の●●●●2個等●●店(販売価格合計●●万●●●●円)を窃取したものである。」
と記載します。

しかし、この告訴事実を記載しただけでも、警察には、この犯罪の背景等がわかりません。そこで、この犯罪の経過や背景を記載することになります。

さらに、法律的、事実的に弱い部分がある場合(ほとんどの場合あると思いますが)には、これを補うように記載しなければなりません。

加えて、出来る限りの証拠も、作成(例えば、前記具体例1のように第三者の陳述書等も考えられます)添付する必要があります。

(5) わかりやすく警察に説明をする。

そして、これらの告訴状等を提出した上で、警察官に説明し、疑問点を解消するとともに、補充が必要とされる部分について、回答、証拠等の提出を行うことになります。

「告訴」の弁護士費用

当事務所の刑事告訴事件の弁護士費用について、①着手金(受任時にお支払いいただき委任事務処理の結果の如何に関わらず返還しない金員)と②報酬金(告訴が受理された場合の報酬)分けて考えています。
そして、事案の難易度等により、
 着手金 40万円(消費税別)~
 報酬金 40万円(消費税別)~
とさせていただいております。

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