令和5年6月16日、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(以下「性的姿態撮影等処罰法」といいます。)が成立し、同年7月13日から施行されました。

この法律により処罰対象とされる行為及び罰則は、以下の5つです。

1 他人の「性的姿態等(性的な部位、身につけている下着、わいせつな行為・性行等がされている間における人の姿)」を、下記の①~④のような「態様・方法」で撮影する行為及びその未遂行為性的姿態等撮影罪(3年以下の懲役又は300万円以下の罰金)

① 正当な理由がないのに、ひそかに、「性的姿態等」を撮影する。

② 相手が撮影等に同意しない意思を形成、表明している場合、これらを行うことが困難な状態にさせ、又は、相手がそのような状態にあることに乗じて、「性的姿態等」を撮影する。

③ 性的な行為でないと誤信させたり、特定の者以外はその画像を見ないと誤信させて、又は、相手がそのような誤信をしていることに乗じて、「性的姿態等」を撮影する。

④ 正当な理由がないのに、16才未満の子供の「性的姿態等」を撮影する。

2 「1」の撮影行為により生まれた記録を提供したり、公然と陳列する行為:性的影像記録提供等罪(特定又は少数の者に提供した場合は、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、不特定・多数の者に提供又は公然と陳列した場合は、5年間以下の懲役又は500万円以下の罰金)

3 「1」の撮影行為により生まれた記録を、提供・公然陳列の目的で保管する行為性的影像記録保管罪(2年以下の懲役又は200万円以下の罰金)

4 不特定・多数のものに「1」の撮影記録を配信する行為性的姿勢等影像送信罪(5年以下の懲役又は500万円以下の罰金)

5 「4」の配信行為により送信された映像を記録する行為性的姿態等影像記録罪(3年以下の懲役又は300万円以下の罰金)

従前も、いわゆる盗撮行為については、各都道府県のいわゆる迷惑防止条例により、また、児童ポルノの製造等については児童買春等処罰法などにより、処罰対象とされていました。

しかし、例えば、旅客機内での盗撮行為は、旅客機が複数の都道府県にまたがって飛行することから処罰が困難であったり、児童買春等処罰法については被害対象が児童に限定されているなど、これらの条例や法律だけでは対応しきれない事例があることから、性的な姿態を撮影する行為等による被害の発生及び拡大を防止する必要があるとの理由から、この法律が制定されました。

この法律について、航空機内での盗撮を中心に取り上げたニュース等もありましたが、前記のとおり、この法律は、航空機内でのいわゆる盗撮のみではなく、それ以外の場所での撮影及び配信等についても処罰対象にしています

罰則的には迷惑防止条例よりかなり重く、同条例等との適用場面はどのように違うことになるのか等、今後、その運用、適用対象等を含め、注視する必要があります。

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