逮捕とは、被疑者(捜査機関によって犯罪を犯したという嫌疑を受けて捜査の対象となっているが、 まだ公訴を提起されてない者のこと)の身体の自由を拘束し、 それを短期間継続する(逮捕後拘束される場合は「勾留」となります)強制処分のことです。

逮捕の目的について、多くの一般の方々は、テレビでの刑事ドラマから、 取り調べの目的のため逮捕がされていると考えていられますが(また、実際の運用もそれに近い場合がありますが)、 法律的には、逃亡又は罪障隠滅のおそれを防止することにあり、取り調べは逮捕の目的ではありません。
(最高裁判所昭和45年9月16日判決 民集24-10-1410)

逮捕には、以下の3つのケースがあります。

1.裁判官から事前に逮捕状(捜査機関の請求により裁判官が捜査機関に逮捕の権限を与える裁判所の書面)の発付を受け、 これに基づいて逮捕する通常逮捕

2.一定の重大犯罪に当たる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状の発付 を待っていたのでは、その目的を達し得ないときに、逮捕の理由を被疑者に告げて逮捕する緊急逮捕(210条1項)

3.現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった現行犯人(212条1項)、方に定める一定の者が、罪を行い終わってから間が ないと明らかに認められる準現行犯人について、誰でも令状なしに逮捕ができる現行犯逮捕・準現行犯逮捕(213条)

勾留の前には、必ず逮捕がなされていなければならず、いきなり、勾留することはできないとされています(207条1項)。

このように被疑者を勾留するには、逮捕が先行しなければならないという原則を逮捕前置主義といいます。

逮捕前置主義は、被告人(犯罪の嫌疑を受けて公訴を提起(起訴)された者)の勾留には適用されません。

逮捕と勾留の2段階に分けて、それぞれについて、裁判官に対し理由と必要性を示して令状を取得することを義務づけることにより、 身柄の拘束という強制処分の濫用を防止しようとしているのです。

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