即決裁判に対する弁護人の活動

即決裁判は、前記の通り、伝聞法則(でんぶんほうそく)が適用されないなど、 簡易な手続きであり、また、即決裁判を行うためには、被告人(ひこくにん)、弁護人が同意しなくてはなりませんので、 被告人が無罪であると述べ、争っている事件では使われません。

問題となるのは、被告人がその犯罪を起こしたことを認めている場合です。
即決裁判は、その申立て後、公判請求がなされた日から14日以内の日を公判期日と定めなければならないとされています (刑訴350条の7、刑訴規222条の7)。
そして、原則として、第1回公判の日に、判決が言い渡されます(第350条の13)。
そして、その判決は、有罪判決であっても、懲役又は禁錮の判決を言い渡すときは、必ず執行猶予が付けられることに なります(第350条の14)。

通常の公判の場合は、被告人が犯罪を行っていることを認めており、かつ、簡易な事案であっても、第1回公判まで、 1~2ヶ月、さらに判決まで、1~2ヶ月程度は、時間がかかります。
又、その判決は実刑の可能性もあります。

勾留されている被疑者にとっては、通常の公判と比べ、即決裁判は、迅速かつ、執行猶予が確実というメリットがある ともいえます。
この点、罰金刑における略式請求(略式手続)と似ています。通常の公判と比べ、肉体的・精神的な苦痛もさること ながら、たとえば、職場等、理由を告げずに1ヶ月強も休むことは、難しいですが、さらに、数ヶ月の勾留ということ になれば、完全にその理由を告げなければならず、職を失わざるを得ない可能性が大きくなります。

そこで、特に勾留されており犯罪を行ったこと自体に争いがない場合、弁護人としては、不起訴処分・略式請求 (略式手続)が無理ということであれば、検事に対し、即決裁判を行うよう働きかけることも選択肢の一つとなります。
その被疑者の当該犯罪の行為態様、被害者の感情等について、罰金刑等の財産刑のみで処理をすることが妥当であること を説得するために、たとえば、被害者との示談を行うなどすることになります。

ただ、勾留後、即決裁判の申立がされた段階で、執行猶予が事実上決まり、かつ、14日以内には公判・判決があること になるため、即決裁判には、被告人の反省を深める作用が少ないとの欠点が指摘されることがあります。

せっかく、執行猶予になっても、再び犯罪を行えば、執行猶予の分も刑罰が復活し、再犯した犯罪の刑と加えて執行を 受けなくてはいけなくなります。
これでは、何のために、執行猶予を得たのかわからなくなってしまいます。

この点等から、弁護士としても、即決裁判がいいのか、通常裁判がいいのかなやむことがあります。

刑事訴訟法-即決裁判
 第四章 即決裁判手続
    第一節 即決裁判手続の申立て

第350の2  検察官は、公訴を提起しようとする事件について、事案が明白であり、かつ、軽微であること、証拠調べが 速やかに終わると見込まれることその他の事情を考慮し、相当と認めるときは、公訴の提起と同時に、書面により即決 裁判手続の申立てをすることができる。ただし、死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件 については、この限りでない。
2  前項の申立ては、即決裁判手続によることについての被疑者の同意がなければ、これをすることができない。
3  検察官は、被疑者に対し、前項の同意をするかどうかの確認を求めるときは、これを書面でしなければならない。 この場合において、検察官は、被疑者に対し、即決裁判手続を理解させるために必要な事項(被疑者に弁護人がないとき は、次条の規定により弁護人を選任することができる旨を含む。)を説明し、通常の規定に従い審判を受けることが できる旨を告げなければならない。
4  被疑者に弁護人がある場合には、第1項の申立ては、被疑者が第2項の同意をするほか、弁護人が即決裁判手続に よることについて同意をし又はその意見を留保しているときに限り、これをすることができる。
5 被疑者が第2項の同意をし、及び弁護人が前項の同意をし又はその意見を留保するときは、書面でその旨を明らかに しなければならない。
6  第1項の書面には、前項の書面を添付しなければならない。
第350条の3  前条第3項の確認を求められた被疑者が即決裁判手続によることについて同意をするかどうかを明らかに しようとする場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官は、 その請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。ただし、被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合 は、この限りでない。
2  第37条の3の規定は、前項の請求をする場合についてこれを準用する。

第二節 公判準備及び公判手続の特例
   第三節 証拠の特例

第350条の12  第350の8の決定があつた事件の証拠については、第320条第1項の規定は、これを適用しない。ただし、 検察官、被告人又は弁護人が証拠とすることに異議を述べたものについては、この限りでない。
    第四節 公判の裁判の特例
第350条の13  裁判所は、第350条の8の決定があつた事件については、できる限り、即日判決の言渡しをしなければなら ない。
第350条の14  即決裁判手続において懲役又は禁錮の言渡しをする場合には、その刑の執行猶予の言渡しをしなければ ならない。

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