刑事事件において、勾留とは、被疑者(犯罪を犯したという嫌疑を受けて捜査の対象となっているが、まだ公訴を提起 されていない者のこと)又は被告人(警察官によって公訴を提起された者で刑事訴訟の当事者のこと)を刑事施設に 拘禁する裁判及びその執行のことを言います。

警察は、刑事事件において、逮捕状に基づいて被疑者を逮捕した場合、さらに、留置の必要があると判断した場合は、 48時間以内に検察官へ書類及び証拠物とともに身柄を送致(検察庁に送ることです)しなければなりません (203条1項)。
そして、送致された被疑者に対し、検察官は、弁解の機会(205条1項)を与え、留置の必要があると考えるときは、 被疑者を受け取った時から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければなりません(205条1項)。

この時間制限は、被疑者が身体の拘束をされた時から72時間を超えることはできないことになっています (205条2項 なお、検察官が直接逮捕した場合は、この時間制限が72時間から48時間となります)。

検察官による勾留の請求は、検察官が定められた事項(刑事訴訟規則147条1項-以下「規」とのみ記載します) を記載した勾留請求書を裁判官に提出することにより行われます(規139条1項・299条)。

これに対し、裁判官は、被疑者に対し、疑いを掛けられている犯罪事実を告げて、これに関する陳述を聞きます (勾留質問 61条)。 その上で、勾留状を出すか、その請求を却下するか決めることになります。
また、接見禁止決定を求められている場合は、これについても判断します。

勾留請求が却下された場合は、検察官が準抗告で争う場合を別として、 被疑者は直ちに釈放されることになります(207条4項)。

勾留状が出される場合、その期間は、勾留請求の日から10日以内であり(208条1項)、やむを得ない事情があると 認められる場合(とはいえ、ほとんどの場合認めらますが)、さらに10日をこえない限度で期間の延長ができること になっています(208条2項)。

このように、この勾留の期間は、勾留請求の日から数えられますので、たとえば、検事が5月1日に勾留請求を行った ときは、最初の10日間の期間が満了するのは、5月10日になります。
そこで、それ以上の勾留の延長を検察官が必要と判断するときは、この期間満了前に勾留延長の申し立てを裁判所に行い、 勾留延長の裁判を得なければなりません。

なお、勾留請求の最初の10日間については、それより、短い期間が定められることはありませんが、延長の10日間に ついては、短縮されることもあります。

勾留の期間内は、被疑者は、裁判所が勾留状に記載する刑事施設に拘束されることになります(64条1項)。
多くの場合、留置場に拘束されることになります。
勾留満期までの間に、検察官は、被疑者に対し、公訴の提起(即決裁判を含む)、略式請求又は不起訴処分のどれかを 行わなくてはなりません。

したがって、最大、48時間(2日)+24時間(1日)+20日間=23日間で、検察官の処分(釈放も含む)が 決まることになります。
むろん、公判の請求の場合は、保釈が認められなければ、そのまま、勾留が継続することにはなります。

しかし、この身体が拘束されている期間が最大約23日間であるということは、痴漢等一つの犯罪が疑われているとき には、妥当しますが、複数の犯罪が疑われている場合は、もっと長期化することもあります (なお、このような実務の運用に対する批判は簡潔に説明する必要から省略します)。

たとえば、覚醒剤取締法違反を例にあげますと、覚醒剤の使用で、逮捕、勾留、満期で23日間した後、営利目的の所持等で、 さらに、23日間拘束されるなどのケースもあります。

逮捕・勾留の間は、留置場又は拘置所に留置されることになります(刑訴209条・75条・刑事収容施設及び被収容者等の処遇 に関する法律14条1項)。

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