保釈(ほしゃく)とは、保証金等を納付させて、 正当な理由なく出頭しないなどの場合はこれを没収するという制裁をつけることにより、被告人を釈放させる制度のことです。

保釈の請求は、被疑者(ひぎしゃ)の段階では請求できず、公判が請求され、被告人(ひこくにん)となった段階から、 裁判所に対して、保釈を認めてくれるよう請求することができるようになります。

保釈の請求は、被告人又はその弁護人、法定代理人、補佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹が行うことができます (刑訴88条1項)。

保釈が認められるためには、
1 被告人が死刑、無期又は短期1年以上の懲役・禁錮にあたる罪を犯したものでないこと(刑訴89条1号)
2 被告人が前に死刑、無期又は長期10年を超える懲役・禁錮に当たる罪を犯していないこと(刑訴89条2号)
3 被告人が常習として長期3年以上の懲役・禁錮にあたる罪を犯したものでないこと(刑訴89条3号)
4 被告人に罪証隠滅(ざいしょういんめつ)(証拠を隠したりなくしてしまうこと)をするおそれがないこと (刑訴89条4号)
5 被告人が被害者その他の事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に 害を加えたり、これらの者を畏怖するおそれがないこと(刑訴89条5号)
6 被告人の氏名又は住所がわかること(刑訴89条6号)
が必要ですが、裁判所が保釈を付けていいと判断すれば保釈を認めることができます(刑訴90条)。

保釈の条件としては、通常、保証金(保釈保証金、一般に保釈金と言われています)を供託することなどが求められます。
保証金は、判決確定後、それまでに、逃亡等をしていなければ返却されることになります。

保証金は、実務上は、最低150万円以上のようですが、裁判所が被告人がそれだけの保証金を積めば没収のおそれから 逃亡しないと判断する金額ですので、被告人の資力によっては、何千万円、何億円にもなります。

弁護人である弁護士としては、被告人が希望し、保証金の算段がつけば、保釈を認めてくれるよう裁判所に申し立てる ことになります。
しかし、事案によっては、もともと、保釈が認められない事案がありますし、特に無罪を主張している事案については、 公判手続がある程度進むまで、保釈を認めない傾向があります。

ただ、裁判員裁判の導入、そのための公判前整理手続の導入により、公判を迅速に進める必要から、被告人が釈放され 弁護人と十分に打ち合わせる必要性が大きくなったことから、無罪を主張している事案についても、前に比較すれば、 保釈が認められる可能性が大きくなったと言われています。

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