公判請求(起訴)とは

公判請求(こうはんせいきゅう)(公訴の提起(こうそのていき)、起訴(きそ)ともいいます)とは、
検察官が、裁判所に対し、特定の犯罪事実について特定の被告人に対する実体的審理及び有罪の判決を求める意思表示のことです (安藤潔著「刑事訴訟法」228頁)。

なお、公判(手続)とは、公訴請求から裁判が確定し、被告事件が裁判所から離れるまでの手続きの全体をいいますが、 一般には、冒頭手続(ぼうとうてつづき)、証拠調べ(しょうこしらべ)、論告(ろんこく)・弁論(べんろん)、 判決からなる公判期日の審理手続きのことをいいます。

日本では、原則として、検察官が公訴の提起を行います(刑訴247条:起訴独占主義)。
被害者が刑事事件において、公訴を提起することは認めていません。
これを、国家訴追主義と言います。

検察官は、被疑者が犯人であることを立証する十分な証拠があり、かつ、訴追条件が備わっている場合であっても、 犯罪の重さや犯人の性格、犯人の年齢などの情状を考慮して起訴猶予処分とすることができます。
これを、起訴便宜主義(きそべんぎしゅぎ)といいます。

公判請求は、検察官が裁判所に起訴状(きそじょう)という書面を提出して行います(刑訴256条)。
起訴状には、被告人の氏名など被告人を特定するに足りる事項(国籍、住居・職業・名前・生年月日等)、公訴事実及び 罪名が記載されます(刑訴256条2項)。
被告人が逮捕又は勾留(こうりゅう)されている場合は、そのことが記載されることになります(刑訴規164条1項2号)。

起訴状に記載される公訴事実は、公訴提起の対象とされた犯罪事実についての検察官の主張で、当該犯罪事実について、日時、 場所及び方法等を記載して特定されることになります(刑訴256条3項)。

たとえば、暴行罪(刑法208条)の公訴事実及び罰上については、下記のように起訴状に記載されることになります。

公訴事実
 被告人は、平成●●年●●月●●日、午後●●時●分頃、東京都新宿区●●●丁目●番●●連絡階段上において、 ●●●●(当時●歳)に対し、その身体を足でける暴行を加えて同人を階段から転落させ、よって、同人に全治まで、 約3週間を要する頭部外傷・打撲、頸椎捻挫等の傷害を負わせたものである。
罪名及び罰条 傷害 刑法204条

検察官は、起訴状に裁判官が予断を生ずるおそれのある書類その他の者を添付してはなりませんし、 起訴状にそれらの書類等の内容を引用してはなりません(刑訴256条6項)。
これを、起訴状一本主義といいます。

現在の刑事訴訟法になる前の旧刑事訴訟法(第二次大戦後改正されました)では、公訴請求とともに一切の書類及び証拠物が公判に出され、 公判の裁判官は、あらかじめこれらの証拠を読み、公判に望みました。

しかし、これでは、あらかじめ裁判官が、当該被告人が犯罪をおこなったであろうという予断(よだん)を持ちつつ、 審判(しんぱん)を行うことになり、特に無罪を主張しようとする被告人(ひこくにん)には、著しく不公平になります。
そこで、現在の刑事訴訟法では、起訴状一本主義を採用し、公判前に被告人を有罪と思わせる情報に裁判官が接することを防止しています。

公判手続の流れ

公判が請求されると、裁判員裁判が適用される事件及び複雑等の理由により、公判前整理手続で、 検察官による証拠開示の上、争点、証拠を整理し、審理計画をたてた方がいいと考えられる事件については、公判前整理手続が行われます。

公判前整理手続が行われる事件については公判前整理手続の終了後、そうでない事件については公判請求後、 定められた日時に公判が開かれます。公判の手続きの内容は以下のとおりです。

冒頭手続 
| (1) 人定質問(じんていしつもん)(規196条)
| (2) 起訴状朗読(きそじょうろうどく)(291条1項)
| (3) 黙秘権(もくひけん)の告知(291条3項、規197条1項)
↓ (4) 罪状認否(ざいじょうにんぴ)= 被告人・弁護人の陳述 (291条3項)

証拠調べ手続
| (1) 冒頭陳述(刑訴296条本文)
| (2) 証拠調請求
↓ (3) 証拠調べ

論告(ろんこく)・弁論(弁論)
| (1) 論告、求刑
↓ (2) 弁論

判決

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