各罪ごとの保釈の成功率

平成22年度の司法統計刑事編で、各罪ごとの保釈の成功率を分析してみました。

前にも、同じ資料から全体の保釈の成功率を計算しましたが、平成22年度内において平成22年度中において、全裁判所において、勾留された被告人の人数は、6万4176人、 内上記年度中に保釈が許可されたのは1万1539人となっています(第16表 勾留・保釈関係の手続及び終局前後別人員-全裁判所及び最高、全高等・地方・簡易裁判所)。 よって、全体の保釈率は、約18%ということになります。これは勾留された全被告人に対する保釈の割合です。 保釈が認められるためには、保釈金(150万円~ 詳細は、「保釈」のところで見てください。)が必要などの条件がありますのでので、勾留されている被告人の全員が保釈請求をできるわけではありませんので、この点は注意下さい。

同じ、平成22年度の司法統計刑事編 「第32表 通常第一審事件の終局総人員-罪名別処遇(勾留、保釈関係)別-地方裁判所管内全地方裁判所・全簡易裁判所別(続き)」によると、下記のとおりになります(B/Aのパーセンテージは私が算出したものです)。

罪名 勾留された人員(A) 保釈された人員(B) 保釈率(B/A)
わいせつ等の罪 1,926人 512人 26%
殺人の罪 447人 31人 6%
傷害の罪 4,067人 786人 19%
窃盗の罪 19,000人 1,645人 8%
強盗の罪 704人 31人 4%
詐欺の罪 4,749人 931人 19%
横領の罪 755人 87人 11%
大麻取締法違反 1,271人 599人 47%
覚せい罪取締法違反 10,947人 1,401人 12%

あくまでも、保釈請求をしていない人も含めた勾留されている方々の人数を母数としていることは注意いただきたいです。

気づく特徴としては、殺人の罪(6%)、窃盗の罪(8%)、強盗の罪(4%)、横領の罪(11%)が、上記の全体の保釈率(約18%)より、かなり低いですが、これは、殺人の罪、強盗の罪はやはり重い罪であること、他方、窃盗の罪、及び横領の罪については、もともとお金がないため保証金が準備できず、保釈請求ができない方が多いのではないかと思います。

逆に、わいせつ等の罪(19%)、詐欺の罪(19%)については、罪として重すぎず、また、保証金をだせる人が窃盗罪に比べて多いということでしょうか。

覚せい剤取締法違反の保釈の率は12%ですので、弁護士の一般的な認識である覚せい剤取締法違反について「保釈が許可されるためには相当の努力が必要となる。」(東京弁護士会期成会明るい刑事弁護研究会「入門・覚せい剤事件の弁護」現代人文社 24頁)を裏付ける数値と言えますが、他方特に初犯の場合は、保釈の可能性があることも裏付けています。

同じ薬物犯ですが、大麻取締法違反の保釈の率である47%は、覚せい剤取締法違反の12%だけでなく、全体の18%から見ても、大きな数字です。覚せい罪取締法違反と大麻取締法違反それぞれに対する裁判所の評価は大きな差があることがわかります。

なお、司法統計は、「裁判所のホームページ」で見ることができます。

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